国立大学法人O大学事件 判例

起訴休職期間満了を理由とする解雇が有効とされた事例
大阪地裁平成29年9月25日判決

court

事案の概要

原告は被告の教員として任用され、被告の組織変更し法人化ののちも雇用契約を締結して勤務していた。

平成24年3月15日、原告とその妻は原告の実母に対する傷害致死容疑で逮捕、4月5日に起訴された。そのため被告は原告を就業規則に従い5月3日付けで上限2年としている起訴休職とした。原告は無罪を主張していたが平成26年2月20日に大阪地裁は傷害致死罪で懲役8年の判決を言い渡した。

原告らは控訴した。その後3月19日付の通知で起訴休職期間満了を理由として5月2日付で解雇すると伝えた。

ところで、その後原告は控訴審で暴行のみが認定され罰金20万円となった。そこで、休職期間満了を理由とする解雇が争われた。ここでは起訴休職期間の上限が2年とされたこと(組織変更前は上限がなかった)、解雇権の濫用であることが主張された。

判旨

起訴休職制度は「自己都合によって、物理的又は事実上労務の提供ができない状態に至った労働者につき、短期間でその状態が解消される可能性もあることから、直ちに労働契約を終了させるのではなく、一定期間、休職とすることで」使用者の労働者が労働できないか、あるいは信用低下を防ぐために労働に従事させられない不利益を回避しつつ解雇を猶予して「労働者を保護する制度である」とし、短期間で労務を提供できる状況にならなかった本件解雇を有効とした。

なお、上限期間を設定したことは、組織が変わっており雇用主が変わったと評価でき不利益変更ではない、解雇権濫用ではないとした。

解説

起訴休職制度を就業規則に設けることはよくあることである。
これは、判決も指摘するように、逮捕、起訴、勾留となり身柄を拘束されるケースで、長期間にわたり労務が提供できないケースにおいて、無罪が推定され、判決が確定するまでは有罪ではないという前提からは直ちに解雇とはいかないことがある。そういったときに、労働者が労務が提供できるようになるまで一定期間解雇を猶予するものである。

本件では、平成24年3月15日に逮捕され、釈放されたのが平成27年3月11日でありほぼ3年にわたって労務が提供できない状況にあった。就業規則は2年で解雇が可能としてあったため、これより前に解雇されていたことがあらそわれた。有罪判決が確定したときの解雇事由とは異なり、起訴されたことを理由とする休職をどのくらいの期間認めるかは各企業の事情によるものではあるが、本人が無罪を主張する事件のほうが長引く傾向にあり、また重大事件のほうが慎重に審理されるため長期化する傾向にある。

本件では2年の休職を認めており、期間としては問題はなかったのではないかと考えることができる。問題は、起訴休職期間満了を理由とする解雇としていたことで、解雇ではなく、労働契約の終了原因として規定しておくことも検討されるべきである。