I社事件 判例

千葉地方裁判所平成29年5月17日判決
複数名で警備体制をとっていたとしても仮眠時間を労働時間と認定した事例

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事案の概要

原告は平成23年9月20日に警備会社と雇用契約を締結し、警備員として就労していた。そのうち警備員1名体制の店舗の警備を担当していた期間、および、警備員が複数体制で警備を担当していた期間の仮眠時間について、賃金が不払いであるとして警備会社を提訴した。

判旨

警備員1名体制の店舗については「警備員は計器類の発報時には即応することが求められていたこと」「仮眠場所は、防災センター内の警備員控室とされており、被告の警備員は、本件仮眠時間の間も、防災センターを離れることは許されて」いなかったこと、寝間着に着替えることもできなかったことから、仮眠時間についても即応が求められていたため勤務時間に当たるとし、複数体制の店舗についても仮眠時間であっても勤務している警備員は待機している警備員に現地対応を求めることが定められていると考えられるので、仮眠時間であっても即応が求められているため、勤務時間に当たるとした。

解説

本件は、警備員の仮眠時間、休憩時間が、労働時間に該当するかが争われた事例です。本件の事情としては、1名体制での警備のときに実際に出動したのは年に4回程度であるなど、基本的には待機せよという状況にあるものの、仕事はめったにないという点が問題の一つとなっています。

労働時間については、業務上の指示に従うことが義務付けられている時間と考えることができるが、事実上労働がない時間であっても完全に労働しなくてよいと評価されない限りは労働時間に含まれるという考え方が裁判所の基本的な考え方であると思われます。
実際に年間4回程度しか仮眠時間に出動がないなどの事情があり、また、複数名が勤務して交代制をとっているときにもこのように勤務時間であると認定することに疑問がありますが、就業規則などでの扱いの確認は必要です。

なお、本件は、当該警備員が仮眠時間の分の賃金を請求する内容証明郵便を会社に対して送付してからのちに、会社が現場勤務を外して会社内で警備マニュアルの作成などの業務に異動させている。
これは支払い賃金の増額を防ぐという目的であり、違法であるとの主張を原告はしたが、裁判所はこちらについては、人件費の上昇を抑える目的があったとしても、その後の勤務内容が適切に与えられていることから、違法ではないとしました。