労働契約法20条問題 判例

東京地方裁判所平成29年3月23日判決
職務時間中のチャットの私用及びその態様から懲戒解雇が相当であるとされた事例

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〈事案の概要〉

駅構内売店を運営する会社の契約社員であった原告が、被告会社の正社員と同じ業務を行っているのに、賃金等の労働条件が異なるのは労働契約法20条に違反し、かつ、公序良俗違反であるとして、平成23年5月分から退職までの差額賃金相当額等を請求した事件である。

〈判旨〉

「労働契約法20条は、有期契約労働者と無期契約労働者との間の労働条件の相違が不合理なものであることを禁止する趣旨の規定であると解されるところ、同条の『期間の定めがあることにより』という文言は、有期契約労働者の労働条件が無期契約労働者の労働条件と相違するというだけで、当然に同条の規定が適用されることにはならず、当該有期契約労働者と無期契約労働者の間の労働条件の相違が、期間の定めの有無に関連して生じたものであることを要するという趣旨であると解するのが相当である」とした。そして、労働条件の相違を具体的に検討し、時間外労働手当以外の本給、賞与等について違反はないとした

〈解説〉

契約社員と正社員の労働条件が異なる会社は相当数あるとおもいます。。むしろ全く同じ労働条件の会社のほうが珍しいでしょう。ここで、労働契約法20条の適用が問題となります。

条文の文言が、「不合理」であってはならないとなっていて、差が合理的であることという規定ではありません。文言解釈からすると、差異が不合理であることを労働者側が主張立証していき、会社側はそれに対して不合理ではないことを主張していくことになります。本裁判例も不合理であることを労働者が主張立証する必要があるとしています。

そして、不合理であるか否かを判断するに際して、業務内容を検討していきました。正社員の場合は業務内容が異なっていることを認定しています。売店業務で契約社員は販売員のみを担当していましたが、正社員は複数の店舗を管理するなどいろいろな他の業務があるなどを認定しています。
ここからこういった事案での対応は正社員の職務の範囲が契約社員と異なることなどを明確にしておくことが有益だということがわかります。
労働条件の違いが単に賃金が違うというのではなく、他の業務の違いを明確にしておくなどの工夫があると紛争の予防になるといえます。

ただし、本件では、時間外手当の割り増し率が正社員と契約社員で大きく異なっている点において、時間外労働の割り増しは職務内容の違いから生じるものではないとして違法とされています。