判例 : 高知県公立大学法人事件 2018.8.16

3年の更新上限規定による雇止めが有効とされた事案
高知地方裁判所平成30年3月6日判決

事案の概要

原告は被告に1年契約で雇用されていた。被告には期間付き従業員については更新は3年間までとする規定があり、原則としてそのとおりに運用されていた。また、更新に当たっては雇用条件などを記載した書面がその都度交付されていた

また正規雇用を推進するとして期間雇用の従業員が公募に応じて正規雇用になる運用も開始されていた。

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本件では原告が3年勤務していたことから更新しない時期となったが、この時点で原告担当業務の公募がなく、正規雇用に応募することもできなかった。そこで原告が被告に対して雇止めが労働契約法19条1号又は 2号に反すること、公募が行われなかったことが同法18条に反するとして提訴した。

判旨

「被告は、3年間の雇用期間の上限を遵守し、契約ミスの例と保健師という資格上の例外を認めざるを得なかった事案を除いて、必ず、3年で契約職員を一旦は雇止めにし、その後は、公募、ハローワークを通じた申込み、選考手続きを行って再雇用をしてきたものであり、3年間の上限に達した契約職員に関しては単なる契約の更新とは明らかに異なる手続を踏んでいる

また、原告の業務が属人的なものではないと指摘し、公募が当該年度に行われなかったことについても「公募はその性質上、年度ごとに必要な人員を補充するために行われるものであるし、ハローワークを通じて広く労働市場から被告への就職を希望する者に門戸を開く手続であって、職員の契約更新とは明らかに性質が異なるから、公募手続を経て再雇用がなされ事実上契約期間が継続した事例が存したとしても、更新の期待を生じさせるとするには飛躍がある」として雇止めを有効とした

解説

本件では雇止めの有効性が争われた事案です。原告は給与計算等を担当していた職員で、専門性もあり代替性もないという主張もしていました。なお、給与計算はアウトソーシングする流れもあり、社内ですべて行うというものでもなくなっており、また、ソフトが使えればある程度の PC スキルがあれば可能な業務でもありました。

本件では、期間雇用契約の職員は3年までという上限が規定されていることが一つのポイントであす。

また、それに加えて、更新手続が実際の採用と同じように行われていました(雇用契約の内容を書いた書面が交付されるなど、単純に期間だけが伸びたという受け取り方ができないようになっていた)。実際に一部例外として雇用契約が更新された事例がありますが、3年を超え採用された事例では、公募手続を経て再雇用されていたという事情がありました。

この事例が参考となるのは、期間雇用の従業員に関して再雇用のルールを設ける際に、どのような規定を置くか、のみではなく、どのように運用しておけばよいのか、という点にあります。

面倒であっても更新のたびに採用と同様の手続をしておくことがポイントです。

雇用条件が全く同じであっても書面を交付しておくこと、延長する事案であっても公募を経ておくこと、などが参考となります。