K運輸商事事件 2018.7.18 交通費の支給上限の可否

事案の概要

原告らは被告会社で期間の定めのある従業員として勤務していた。期間の定めのある従業員に対する通勤手当は期間の定めのない従業員(正社員)の半額とされていた。

このことから、通勤手当が正社員の半額であることは労働契約法20条に反するとして差額の支払を求めて訴えを提起した。

判旨

「本件相違に合理的な理由は見いだせず、通勤手当が被告に勤務する労働者の通勤のために要した交通費等を填補するものであることの性質等にかんがみれば」「職務内容の差異等を踏まえても、本件相違は不合理なものといわざるを得ない。したがって、本件相違は労働契約法20条に違反するものというべきである」

解説

本件は通勤手当の支給額の相違が労働契約法20条違反かが争われ、裁判所は合理的な差異ではないとして違反を認めた。
通勤手当を支給している会社は多いと思われるが、アルバイトやパートに対しては正社員と異なる扱いをしている会社も少なくないと思われる。

本件で会社は名称は通勤手当であるが、3回欠勤したら不支給としており、実質は皆勤手当てであるとも主張したが裁判所はこれを認めなかった。

coworker

労働法的に見た場合、通勤手当は支給が義務とは言えないものです。労務の提供のために通勤することは当然のことで、交通費は法的には労働者負担であるとすることも不可能ではありません。
税務上の扱いは少額非課税ということで所得税が課税されていないということを考えると、差異を設けることが違法だと言い切れるのかは疑問があるところではありますが、通勤手当が支払われることが当然とされていること、求人において支給すると示すことが有益であること、などを考えると上限を定めて支給するという扱いに合理性があります。

これからはこの判例によらずとも働き方改革による同一労働同一賃金の性質から考えて、交通費について、支給要件を変国することはできなくなると考えます。