日本ビューホテル事件

東京地方裁判所平成30年11月21日判決

事案の概要

原告は役職定年、平成22年5月に60歳で定年退職をへたのちに定年後再雇用として嘱託社員となった。65歳以降は臨時社員として勤務した。

給与は平成22年6月が約26万円で徐々に下がり、嘱託社員の最後が約21万円、臨時社員のときは時給1150円であった。

原告は期限の定めのある社員とない社員との相違は不合理な労働条件の相違であり労働契約法20条に違反するとして賃金の差額の支払いを求めた。

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判旨

「労働契約法20条にいう『期間の定めがあることにより』とは、有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであることをいう」

「労働契約法20条は、無期契約労働者と有期契約労働者との間の労働条件の相違が『不合理と認められるものであってはならない』と定めるのみで、有期契約労働者と比較対照すべき無期契約労働者を限定して」いない。

「具体的な賃金項目の趣旨によりその考慮すべき事情や考慮の仕方も異なり得るから、両者の賃金の総額を比較することのみによることなく」業務内容なども総合的に考慮すべきである、として原告の請求を棄却した。

解説

定年が延長されたり、定年退職者を再雇用することにより、新規採用を控えることとなったり、人件費を減らすことができなくなるのは企業にとっては大きな負担となります

だからこそ、役職定年をいれて給与を調整したり、再雇用では従前の正社員時とは異なる給与体系を採用する必要が出てきます。
定年後の嘱託社員での採用は広く行われており、1年の期間の定めのある雇用契約として一定年齢まで更新する扱いにしているところも多い。

さて、ここで問題となるのは本件のように、雇用契約に期間の定めがあるかどうかでの不合理な相違との主張です。企業としてはこのような主張は想定しておらず、難癖をつけられたと感じることが多いのではないかとおもえます。

ここで比較する無期契約労働者がこの労働者の場合は存在していないために、業務内容が同じであるなどの無期契約労働者を探すことになる。
そうすると、原告の業務は契約ノルマはなく、契約が取れなくても人事評価に大きく影響があるものでもない。
そうすると、同様の業務内容の無期契約労働者は新入社員や数年目の従業員に限定されてくることになる。

それらの無期契約労働者を比較した場合、給与に不合理な相違はないと判断したのがこの判決である。