ホームヘルパーの労働時間とは?

ホームヘルパー(訪問介護員)さんの労働時間で注意しなければならないことが一点ございます。
それは、「移動時間の取り扱い」です。

介護サービスの利用者宅から次の利用者宅への移動時間ですが、その時間の自由利用が職員に保障されていないと場合については労働時間にあたります。
具体例を使ってご説明します。

自宅   ⇒ Aさん宅   移動時間は、通勤のため労働時間ではない
Aさん宅 ⇒ Bさん宅   移動時間は、労働提供ために必要な時間なので、労働時間
Bさん宅 ⇒ 会社     移動時間は、会社に戻る時間で労働時間
会社   ⇒ 自宅     移動時間は、帰宅のための時間なので、労働時間ではない

「お客様宅でサービスをしている時間しか給料を支払わない」等という行為は、法律に適合していない可能性が非常に高いので、不明な事業所様は一度専門家にご相談されることをお勧めいたします。

まずは、以下の点にご注意ください

移動時間中の給与について
上記のとおり、移動時間について無給でいる状態というのはサービス残業をさせていることになるのですが、「ヘルパー業務と同じ時間給を支払わなければならない」というわけではありません。
企業として業務内容に応じた給与を支払うという行為は何ら問題ございません。
ただし、最低賃金の絡み、給与を分けることの相当性、妥当性、明白性に注意することは必要です。また、ヘルパーさんに納得していただくことも大事です。
報告書を書く時間について
報告書は必ず提出していただくことと思います。その報告書を書く時間ももちろん労働時間に含まれます。そこで確認ですが、報告書はどこで書いてもらっているでしょうか?
会社に戻ってから?自宅からのFAX?
それによっても労働時間となる時間は大きく異なってくるでしょう。なぜなら会社に戻ってから報告書を提出するのであれば、最後のお客様のお宅から会社に戻ってくるまでの時間も労働時間に算定されるからです。
会社に戻ってくる必要がないのであれば、直帰してもらい自宅から報告書を送信してもらうことも検討していいのではないでしょうか?ただし、報告書を書く時間も労働時間だということを忘れないようにしなければなりません。就業規則できちんと定めておきましょう!
直帰に変更する際には、もう一点注意してほしいことがございます。
それは、「社員、ヘルパーさん同士のコミュニケーションが不足すること」です。
トラブルの大半がコミュニケーション不足に起因しているという事実を忘れてはなりません。コミュニケーションを充実させる方法を同時に考えるようにしてください。

ヘルパーさんの移動時間中賃金の未払いにならない裏技

上記の例を利用するだけでも移動中賃金の未払いは防ぐことは可能です。
しかし、残念ながら移動中賃金を支払うことで企業側の負担が増えることは否めません。
移動中賃金は負担せざるを得ないのでしょうか?

実はそうではありません。

合法的に負担を増やさずに移動中賃金の未払いを防ぐ方法があります。
やらなければならないことがありますが、特別なことは致しません。
就業規則もしくは労働条件通知書を変更することで可能になります。

近くレポートをお作りしまして皆様にダウンロードしていただけるようにしたいと思いますので、しばらくお待ちください。

お問い合わせいただけましたら、すぐにお伝えすることも可能ですので、お急ぎの方はお問い合わせください。

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社会保険等の加入基準

正社員とパートタイマーなどとの違いは、こちらで記載いたしましたが、大きなものの一つに保険への加入義務の差があげられます。
今回は、その基準の違いを取り上げてみたいと思います。
社会保険などと申し上げましたが、更に詳しく申し上げますと

  • 労災保険
  • 雇用保険
  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険

があり、前二つを「労働保険」と呼び、残りを「社会保険」という呼び方をします。
この労働保険と、社会保険、同じ保険とついているのでよく似ていると勘違いされる方もいらっしゃいますが、実のところ全く異なります。もちろん加入義務が生じる基準も異なります。
整理をしますと以下の通りです。

雇用期間 週の労働時間
労災保険  -   - 
雇用保険 31日以上継続 週所定労働時間20時間以上
健康保険 1日又は1週間の労働時間が正社員の概ね3/4以上である
かつ
1ヶ月の労働日数が正社員の概ね3/4以上である
厚生年金保険 1日又は1週間の労働時間が正社員の概ね3/4以上である
かつ
1ヶ月の労働日数が正社員の概ね3/4以上である

ただし、「2か月以内の雇用期間を定めて雇用される者は、社会保険の加入基準を満たしていても社会保険の適用除外者となります。従って、上記の2つの基準を満たしているパートタイマー、アルバイト等であっても、契約期間が2か月以内に限定され更新がない場合は、社会保険の適用を除外されます。

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契約期間

この契約期間に関する事項は、必ず書面で示さ中ればならない事項でした。詳しくはこちらで
以前は、契約期間は原則1年、特別な場合に最長3年などという制度がありましたが、
近年の労働環境の変化と労働者の就業意識の変化に伴い、かなり変更されてきました。

詳しくは下部に記載するとして、簡単に言うと
契約期間については、期間の定めがあるものとないものがあります。
期間の定めがあるものについては、同じ仕事に長期間縛り付ける契約になってしまい、労働者が不利になる虞があるため上限を区切っていることになります。
その期間が、原則 3年以内 となります。
ただし、一定の者については、5年まで認めているものもあるということです。
3年 と 5年 この数字を覚えておくようにしてください。

契約期間

労働契約の契約期間は3年以内とされています。
また、専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」と言います。)であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当するものを有する労働者がそのような専門的知識等を必要とする業務に就く場合に締結する労働契約については、契約期間を5年以内とすることができます。

《原則》上限3年
(※)ただし、有期労働契約(特例3に定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限ります。)を締結した労働者(下記特例1又は2に該当する労働者は除きます。)は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます
〔この措置は、政府が、改正労働基準法の施行後3年を経過した後に、その施行の状況を勘案しつつ検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるまでの間の暫定措置です。〕

《特例1》専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準(※)に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
→ 上限5年

《特例2》満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約
→ 上限5年

《特例3》一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(有期の建設工事等)
その期間

(※)高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等とは、次の①から⑦のいずれかに該当する者が有する専門的知識等を言います。
① 博士の学位を有する者
② 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士又は弁理士のいずれかの資格を有する者
③ システムアナリスト試験又はアクチュアリー試験に合格している者
④ 特許法に規定する特許発明の発明者、意匠法に規定する登録意匠を創作した者又は種苗法に規定する登録品種を育成した者
⑤ 大学卒で実務経験5年以上、短大・高専卒で実務経験6年以上又は高卒で実務経験7年以上の農林水産業の技術者、鉱工業の技術者、機械・電気技術者、システムエンジニア又はデザイナーで、年収が1075万円以上の者
⑥ システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントで、年収が1075万円以上の者
⑦ 国等によりその有する知識等が優れたものであると認定され、上記①から⑥までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者

(注意点)
○ 5年以内の契約期間の労働契約は、上記基準に該当する労働者がそのような専門的知識等を必要とする業務に就く場合であれば、いつでも締結することができます。
○ 改正労働基準法による労働契約の契約期間の上限の延長は、有期労働契約が労使双方から良好な雇用形態の一つとして活用されるようにすることを目的としたものです。
今回の改正を契機として、期間の定めのない契約の労働者を採用することとしていた方針を有期契約労働者のみを採用する方針に変更するなど有期労働契約を期間の定めのない労働契約の代替として利用することはその趣旨に反するものです。
○ 労働者との間に期間の定めのない労働契約を締結している場合には、その労働者との間の合意なく契約を有期労働契約に変更することはできません。

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職員の採用時に気を付けること

労働条件の明示

社員さんだけでなくパートさんアルバイトさんでも雇い入れの際には、その労働条件をはっきり示す必要があります。

第十五条  (労働条件の明示)

(1)使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

(2)前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

(3)前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

となっています。

皆様がコンビニでジュースを買うときに契約書を用意されたら面倒ですよね?
でも、家を買うときに口頭で説明されたり、詳しく内容を聞かされていなかったらどんな気分ですか?

社員さんとも実は、「契約」を結んでいるんですね。
働く人は労働力を提供し、
使用者側はその労働の対価として賃金を支払う
という契約です。

義務と権利を少し解説しますと、
労働者には、
誠実に働く義務と、対価として給料を受ける権利があり、
使用者側には
労働に対する給料を支払う義務があり、真正に労働を提供を受ける権利を持っています。

もし、労働者がきっちりと仕事をしてくれないときは、「ちゃんとやれっ」って言いたいですよね?
もちろん、それは言うことができるのですが、なぜ言えるのかというと、つまりは労働者と契約を結んでいるから
ということになります。

それでは、何を示す必要があるのでしょうか?
詳しくは、労働条件の明示をご覧ください。

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労働時間とはどこをさす?

労働時間とは、どこの部分を指すのでしょうか?

  • 「8時始業なんですけど、50分から掃除をしています。掃除の時間は労働に当たりますか?」
  • 「お昼の電話当番がありますが、その時間は労働時間になりますか?」
  • 「夜勤で交代で3時間仮眠をとります。その時間は労働時間ですか?」
  • 「よく手待ち時間があって何もしない時間がありますが、これは労働時間ですか?」
  • 「お客さんのところからお客さんのところへ移動時間がありますが、これは労働時間ですか?」

などです。

いかがですか?皆さんは正解がわかりますか?

そもそも、労働時間とは、使用者または監督者の下で労働に服しなければならない時間を指しています。
休憩時間は労働時間に含まれません。休憩の間は監督者のもとで労働に服する義務が免除された時間だからです。

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