48歳新人「地獄の研修」で障害負い損害賠償請求

サニックス事件( 広島地裁福山支部 : 2018-02-22 判決 )
48歳新人「地獄の研修」で障害負い損害賠償請求
新人研修の「24キロ歩行」で膝関節等を負傷し、労災認定を受けた48歳男性が、会社に損害賠償を求めた。研修の講師養成学校では、「地獄の訓練」と称していた。裁判所は、訓練を中断せず病院受診を認めなかったとして安全配慮義務違反と判断。年齢や体力差を考慮せずムリな研修とした。百キロの体重は病的肥満ではないとして、素因による賠償額減額は認めなかった。

企業研修で忍耐力や体力を要するようなものを実施する場合は注意が必要です。

企業には、
『安全配慮義務』
と言うものが厳しく求められています。

業務にあたるうえで、労働者が安全に遂行できるように企業側が配慮することを求められています。

今回のケースでは、
従業員の方が研修(スピリットと呼ばれる24キロ歩行)に当たるうえで、
この安全の確保ができていたかという点になりますが、
会社は『自分の体力と相談しながら進めてください』と日報などで指示しながらも、
足首の捻挫を理由に病院への通院の求めを却下し、受診させることを許さず研修を遂行させたこと。
体力や経験を考慮せず一律に運動を強要したこと などを理由に損害賠償を命じました。

同様の判例では、
耐寒訓練作業中に死亡した事案では、狭心症が完治していないにもかかわらずその訓練をさせた事案 や
歩行訓練中に死亡した事案で、十分な救急医療体制を整えることがなかった事案
等があります。

つまり、

① 事前の教育
② 使用器具の不備の有無
③ 訓練に耐えうる体力や健康状態の確認
④ 訓練内容の相当性
⑤ 訓練中の安全確保、医療措置確保
⑥ 傷病発生後の措置の相当性

が重要になると言う事がわかります。

今回のサニックスの事例ですべてが満たされなかったわけではありません。
苦労しでも成し遂げた達成感や一体感を得る研修の意味も分かります。

しかし、こういった事案があることを考えながら慎重に進める必要があると感じます。
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