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2023.10.27
【労災事例集】 これって労災になるの?
目次
労災の基準は二つあります
この二つの基準を満たさない限り労災と認められることはありません。
① 業務遂行性
使用者の支配下にあり、事故が業務に起こったかどうかを判定します
② 業務起因性
事故が起こった原因が、業務に関連しているかどうかを判定します
※ 労災の給付については、厚生労働省のページを参照してください。
事例1 配送作業中の腰痛
Q 大型冷蔵庫を運ぼうとした際に手を滑らせ、腰に負担がかかった結果、腰を痛めてしまった場合
災害性の原因による腰痛には、業務遂行中の転落 や 転倒等の負傷に起因するもののほか、突発的な出来事で急激な力の作用による内部組織(特に筋、筋膜、靱帯等の軟部組織)の損傷を引き起こすようなもの(つまりぎっくり腰のようなもの)に起因して発症する場合もあり、このような腰痛が、労災補償の対象として取り扱われるためには認定基準(昭51・10・16基発第750号)が示されており、次に示す認定要件を満たす必要があります。
1. 腰部の負傷又は腰部の負傷を生ぜしめたと考えられる通常の動作と異なる動作による腰部に対する急激な力の作用が、業務遂行中に突発的な出来事として生じたと明らかに認められるものであること。
2. 腰部に作用した力が腰痛を発症させ、又は腰痛の既往症若しくは基礎疾患を著しく増悪させたと医学的に認めるに足りるものであること。
1.の要件は、腰部が常に体重の負荷を受けながら屈曲、伸展、回旋等の運動を行っており、労働に際して何らかの原因で腰部に通常の運動とは異なる内的な力が作用して、いわゆる「ぎっくり腰」等の腰痛が発症する場合があるので、単に業務遂行中ということだけでなく、災害性の原因が存在することを必要としているものです。
その事例として、重量物の運搬作業中に転倒したり、重量物を2人がかりで運搬する最中にそのうちの1人が滑って肩から荷をはずしたりしたような事故的な事由により、瞬時に重量が腰部に負荷された場合があります。
今回のケースは、大型の冷蔵庫という重量物の運搬中のことですし、前記の事例に近いので業務上と認められる可能性が高いと考えられます。
事例2 水を買いに行く途中の事故
Q 建設作業途中喉が渇いたので、500メートルほど離れたコンビニに買いに行ったが、その途中で事故にあった場合
水を飲むという行為は、業務上の付随行為と言えるため、その準備行為も業務に付随すると判断されます。このケースは労災と認められるでしょう。
事例3 落ちた帽子を拾おうとして車にはねられた事故
Q トラックがパンクしたため路肩に止めて作業途中、突風で帽子が飛ばされた。その帽子を拾おうとしたところ、後方から来た車にはねられた事故。
帽子を拾う行為は、業務上必要な行為とは言えないかもしれませんが、突然飛ばされた帽子を拾おうとする行為は、反射的にとった行為とされ、当然起こりえる行動といえます。そのため業務災害と認められるでしょう。
事例4 休憩時間途中のキャッチボール
Q 休憩時間途中、同僚とキャッチボールをしていた際、ボールを取り損ねて画面を強打した。
休憩時間中であり、業務と関係のないキャッチボールということで、業務上必要な行為ではなく、業務遂行性も認められないため、労災とは認められません。
記載の内容は、執筆当時の法律に基づきます。また、わかりやすく記載するため、例外についてあえて記載していないことがあります。また、一定の状況下・一定の条件のことを指していることがあり、すべての状況で同様のことが言えるわけではありませんので、ご了承ください。