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2023.11.08
【労災事例集】 これって労災になるの? 3

労災になるかならないかを何回かに分けて解説してきましたが、業務遂行性と業務起因性の2点で判断することを理解していればある程度予測ができます。ただし、労災認定をするかしないかは決定は監督官が調査のうえ行いますから、正確な情報を伝えて判断を仰ぐことになります。

事例9 昼休み中の外出

Q 昼休み中に食事のため会社の外に出た際にケガをしたのですが、労災の適用になるのでしょうか?

休憩時間については、労働者が自由に行動することが許されており、その間の個々の行為自体は労働者の私的行為といえます。
したがって、休憩時間中の災害については、それが事業場の状況に起因することが証明されない限り、一般的に業務起因性は認められません。
今回のケースは、休憩時間中に食事のために外出してケガをしたということですから、私的行為となり、事業場施設外でもあるので労災とは認められないでしょう。

事例10 出張中の実家からの移動

Q 出張中、4日間のうち、近隣に実家があるということで、3日目の出張業務終了後、実家へ泊まりに行きました。その従業員は、4日目の出張業務を終えたのち、会社に向かう途中の交差点付近で対向車と接触事故を起こしました。この場合は、私的行為後の被災ということになりますか?

出張中の業務遂行性については、積極的な私的行為、恣意行為にわたるものを除き、それ以外は一般に出張に伴う行為とみて、業務遂行性を認めるという取扱いになっています。 したがって、出張途上においては、通常考えられる合理的な順路および方法によっている限り、業務遂行性があるということになり、たとえこの順路や方法を逸脱したとしても、逸脱している間の業務遂行性は失われるものの、合理的な順路や方法に復した場合には、当然業務遂行性も回復すると考えることができます。
今回の事例の場合、たとえ実家に泊まりに行くという積極的な私的行為があったとしても、災害が起きた時点では通常の順路に復しており、業務遂行性は回復していると考えられます。
ただし、これが出張ではなく、通勤途上災害の場合は、通勤の途中で逸脱や中断があった場合、それ以降の行為は通勤行為とはみなされないこととされており、通勤災害とは認められません。

事例11 アパートの階段でのケガ

Q 私はアパートに住んでいますが、出勤時、アパートの自室を出て、階段を降りる際に転倒してケガをしました。このような場合には、労災の適用になるのでしょうか?

「通勤」とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を合理的な経路及び方法により往復する行為ですから、住居又は就業の場所が、それぞれ通勤の始点・終点となります。
住居については、その形態が様々ですから一様に決定するのは難しい問題となりますが、基本的には、一般公衆が自由に通行できるか否かをその基準にして判断するものです。
したがって、アパートの場合は外戸が通勤の始点・終点となるので、今回の事例の場合は、外戸を通過した後の階段での災害であり、通勤経路上における災害と認められると考えられます。

事例12 休日のソフトボールで突き指

Q 日曜日に、勤務先の社長が監督をしているソフトボールチームの試合に出場し、手を突き指してしまいました。労災の適用になるのでしょうか。

ソフトボールの試合に参加することが、事業主からの積極的な命令を受け、労務管理上必要であるとして参加が義務付けられ、休日出勤扱いとなって賃金が支払われていること、また、参加できないときには欠勤扱いとなるなど、業務遂行性の要件が満たされていたかがポイントになります。
具体的には、催しの主催者、目的、内容、参加方法、運営方法、費用負担などを把握して総合的に判断することになります。
社長が監督をしているチームに参加を求められた場合、参加しなければならないと思う気持ちは理解できますが、参加することが社員の自由意志にゆだねられている場合は、業務遂行性が認められないと判断される可能性が高いと言えます。


記載の内容は、執筆当時の法律に基づきます。また、わかりやすく記載するため、例外についてあえて記載していないことがあります。また、一定の状況下・一定の条件のことを指していることがあり、すべての状況で同様のことが言えるわけではありませんので、ご了承ください。

労災事例集 まとめ

  

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