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- 【Q&A】 定年後に再雇用する場合、労働条件は会社の都合で決めていいのか?
2023.12.21
【Q&A】 定年後に再雇用する場合、労働条件は会社の都合で決めていいのか?
完全に自由とは言えませんが、労働契約ですから会社の提示には一定の裁量があります。
65歳までの雇用機会の確保
(1)60歳以上定年
従業員の定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上とする必要があります。(高年齢者雇用安定法第8条)
(2)高年齢者雇用確保措置
定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を実施する必要があります。(高年齢者雇用安定法第9条)
「継続雇用制度」とは、雇用している高年齢者を、本人が希望すれば定年後も引き続いて雇用する、「再雇用制度」などの制度をいいます。この制度の対象者は、以前は労使協定で定めた基準によって限定することが認められていましたが、高年齢者雇用安定法の改正により、平成25年度以降、希望者全員を対象とすることが必要となっています。
なお、継続雇用先は自社のみならずグループ会社とすることも認められています。
定年後の労働条件は自由に決めることができるのか?
定年後は、パート又は有期雇用での新たな契約を結ぶことになります。そこから、全く同じ労働条件を継続する必要はありません。
ただし、同一労働同一賃金のガイドラインから考えても、同じ職務で、賃金のみを引き下げるというのは、不合理とされます。そのため、職務内容を一定程度変更しなければ、賃金の変更ができないと考えるのがいいでしょう。
そして、定年までの職務内容と全く異なる職務につかせることですが、これについては注意が必要です。過去の判例からも、その変更に合理性があるかが重要な争点となります。
判例でも、定年まで事務職だった人に、定年後に清掃業務を命じたことについて、社会通念上到底受け入れ難いとし違法とされたものや、フルタイムを希望する人に約半分の労働時間で、75%の給与の減額とした会社の提案を合理的理由がないとして違法したものがあります。
職務や労働時間の変更については、客観的合理性があるか をよく検討する必要があります。
再雇用を拒否することはできるのか?
原則できないと考えるのがいいかと思います。
再雇用を拒否できる場合とは、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、など、一般的に解雇措置をとることが認められる場合と同じであり、そうでない限りは本人の希望に基づき、雇用を継続する必要があると考えます。