お問い合わせ

お知らせ お知らせ

BLOG & NEWS

2024.05.21
【判例】 経営戦略室の課長でも管理監督者とはされず、残業代の支払いは必要か?

東京地方裁判所令和5年3月3日判決

事案の概要

原告は飲食店の経営や菓子等の製造を行う株式会社に勤務し、課長として戦略本部に勤務していたが、その間管理職として時間外手当は支払われなかった。

原告の部署は人員が少なく恒常的に人手不足であり、原告の業務は会社の経営戦略の実現という部署の本来業務以外にシフト表の作成やアルバイトの教育等多岐にわたっており、毎月100時間に及ぶ時間外勤務があったとして、退職後に未払い分の時間外手当を請求した。

判旨

労基法41条2号の管理監督者の時間外手当について、「時間外手当等の支給の対象外とされるのは、当該労働者が経営者と一体的な立場にあり、重要な職務と責任を有しているために、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて労働することが要請されるという経営上の必要とともに、当該労働者は出退勤などの事故の勤務時間についてある程度自由裁量を働かし得るため、厳格な労働時間規制をしなくても保障に欠けるところがないことが理由であるとされる」とし、職務の態様、与えられた権限、責任、労働時間に対する裁量、待遇等を実質的にみて管理監督者に該当するかを判断すべきとし、本件では原告は管理監督者に該当しないとした。原告の請求を一部認めた。

解説

裁判では実態を検討してそれにあわせた事実認定を行うのが通常です。契約書の記載や肩書で決めるということはありません。
本件では、経営戦略を決める部署に勤務していた課長職である原告の職務内容を検討し、管理職に該当しないとされました。
経営戦略本部は経営者の方針を具体化するための部署であり、担当常務と原告、その他マネージャー職2名程度の人員しかいませんでした。

原告の業務は経営陣の方針の具体化が本来業務であり、方針の決定権は持っていませんでした。また、人員が少ないため、原告の業務量が多く、出退勤時間はタイムカードで管理されており、自由に出退勤できる状況ではありませんでした。
また、各店舗のシフトの決定という職務権限は有していたが、各店舗の開店閉店時間を決定する裁量はもありません。調整業務に合わせて人員不足から、原告は毎月100時間余りの時間外労働を行っていました。従業員としての業務と管理職の業務を並行して行っていました。

概要

原告は課長として被告会社に勤務。
恒常的に人員が足りず、毎月100時間あまりの時間外労働があり、退職後に時間外手当を請求。裁判所は、出退勤がタイムカードで管理されており、裁量がなく、職務においても人事権も十分ではなく、管理職ではないとして、時間外手当の支給を命じた。


【判例】 経営戦略室の課長でも管理監督者とはされず、残業代の支払いは必要か?
【判例】 定年再雇用者の給与を引き下げることは、同一労働同一賃金に違反するのか?
【判例】 正社員と期間の定めのある臨時職員との賞与の有無の差は不合理と言えるのか?
【判例】 労働実態がほとんどない深夜帯の勤務について通常と異なる計算方法はできるのか 
【判例】 育休明けの復職後の配置が給料が変わりないからとって自由に配置を行ってもいいのか? 
【判例】 明確なパワハラ行為が会社であったことを放置し労災認定されたとき、それを安全配慮義務違反として会社に対しても損害賠償が認められるのか?
【判例】 有期雇用契約中に適性検査を行い、適性が認められないとして、契約更新を終了することは適用といえるか?
【判例】 労働契約法20条問題 平成29年3月23日
【判例】 ドリームエクスチェンジ事件 平成28年12月28日
【判例】 SGSジャパン事件 平成29年1月26日
【判例】 F堂事件
【判例】 有期雇用を相当程度繰り返してきた契約社員を、後から定めた更新上限を理由に雇止めとすることはできるのか?
【判例】 日本郵便(休職)事件 2018.6.20
【判例】 類似の働き方の正社員と嘱託社員の間で、労働条件の差を設けることはできるのか?同一労働同一賃金の違反にならないのか?
【判例 X学園事件 平成28年11月30日判決
【判例】 有期雇用の従業員を試用期間中のコミュニケーション不良で、試用期間満了後の解雇は有効となるか?
【判例】 高知県公立大学法人事件 2018.8.16
【判例】 スマホでできる勤怠管理システムを導入しているが、直行直帰の従業員を事業場外の見なし労働時間制を使うことは可能か?
【判例】 70時間を含む固定残業手当の制度は、有効なのか?固定残業制度の可否は?
【判例】 K運輸商事事件 2018.7.18 交通費の支給上限の可否
【判例】 定年後再雇用の方の給与について、年齢給部分をカットし給与が下がることは労働契約法20条の違反となるか?
【判例】 トラック運転手の残業代の計算方法の適法性が問われた事案。
【判例】 有給休暇の単価計算で、通常勤務した場合に支給される手当は有給単価に含まれるのか?
【判例】 定年退職後に嘱託社員となったが、給与について正社員と比べて低くするのは、労働契約法20条の違反となるのか?
【判例】 在職中に同僚に自分の新会社への転職を行うような引き抜き行為について損害賠償請求ができるのか?
【判例】 調整給として支給している固定残業代は、認められるのか?
【判例】 関西ケーズデンキ事件 2018.10.15

pagetop