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2023.09.29
年収106万円の壁の 50万円助成金はどんな会社に向いているのか?10名の会社にこの助成金は有用か?
51名以上の会社であれば、得をする可能性はありますが、新たに「社会保険適用促進手当」の支給の必要があるので、厳密には得をしません。が、従業員は喜ぶと思います。
詳しく解説いたします
9月27日に詳細が発表されましたが、情報だけが先行しているようですが、少しこの助成金について調べてみました。こちらは日経の記事ですが、これを見れば、50万円がもらえそうで、まさに眉唾物です。
目次
この助成金の主な要件
1 パートさんを社会保険に加入させる手続きをする
社会保険は、正社員と、正社員と比べて3/4以上勤務する人(パート等)に強制適用となります。ただ、令和6年10月からは、この基準が変わります。被保険者数51人以上の会社は、①週の所定労働時間が20時間以上で、かつ ②所定内賃金が88000円以上であり、かつ、③学生ではない を満たす人も、強制的に社会保険の加入と変わります。この88000円が、年収にすると106万円です。
この基準を満たした会社、または満たしていない会社でも任意に加入基準を引き下げることができますので、社保に加入する手続きを行います。
社会保険の適用拡大については、こちらの記事をご参考になさってください
【Q&A】2024年10月の社会保険の適用拡大について、簡単に教えてほしい
2 そのパートさんの手取りが減らないように「社会保険適用促進手当」を支給する
パートさんが社会保険に加入しますと、実質手取りは減ります。月額88000円の給料の方が社保に加入した場合、およそ13000円の保険料負担となります。そこで、手取りが減らないように、新たに手当を支給することになります。それが、「社会保険適用促進手当」です。
この「社会保険適用促進手当」を賃金の15%とします。88000円のときは、13200円なので、社会保険料負担額を超えますので、実質手取りが減らないことになります。なお、この「社会保険適用促進手当」は社会保険の算定の基準の対象外とされています。
よくある質問
Q: 助成金はどんなふうにもらえる?
1年目に一人当たり20万円、2年目に追加で20万円、3年目に10万円がもらえ、総額で50万円となります。労働時間の延長をする場合は、その時間が、一定時間を超えると一人当たり30万円もらえます。
Q: 対象者が途中で退職したら?
詳細が発表されていませんが、今までの流れを考えれば、おそらく、追加の助成金は支給されないことになります。
Q: 既に社保の適用拡大をしている会社は対象となる?
「短時間労働者が新たに被用者保険の適用となる際に、労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対して、」とありますから、既に適用拡大をしている会社は適用除外となります。
Q: 社会保険適用促進手当の社保算定の適用除外は恒久的?
「社会保険適用促進手当については、被用者保険適用に伴う労働者本人負担分の保険料相当額を上限として、最大2年間、当該労働者の標準報酬月額・標準賞与額の算定に考慮しない」とあり、恒久的なものではありません。いつから2年間をカウントするのかは、おそらく支給を開始した時からでしょうが、そのあたりの詳細はまだ発表されておりません。
Q: 51名以上の会社はこの助成金を使ったら得なのか?
51名の会社は令和6年10月から社保の適用拡大の対象となります。そこで、手取りが減るパートさんに何とかしてあげたいなと感じていた会社様はこの助成金を利用するのがいいでしょう。
ただ、88,000円の人で、社保の会社負担が13,000円、社会保険適用促進手当が13,200円で、合計で26,000円の負担増となります。1年目に200,000円もらえますので、人件費増が、312,000円なので、助成金と比べるとマイナスにはなります。得か損かだけで判断すれば、得ではないでしょう。
ただ、助成金の受給をしない場合であっても、社保の加入は強制適用の拡大対象の会社なので、そういう意味では、負担増は社会保険適用促進手当の分だけとも考えられます。その場合は、年負担158,400円なので、少しプラスになると言えます。得か損かだけで判断すれば、少し得をすることになりますが、助成金がある2年間に限ります。
Q: 10名の会社はこの助成金を使ったら得なのか?
既に51名の場合でご説明した通りと同様の結果となります。かつ、社保の適用拡大加入は本来強制ではありませんから、従業員が喜ぶかどうかは別として、得ではないでしょう。
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