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2023.11.02
【書式集】 面接の際に健康状態に関する質問をできるのか? 健康告知書

業務上確認が必要なら健康に関する質問をすることはできます。ただ、答えることを強制することはできません。書面にして聞くほうが望ましいと思います。

詳しく解説いたします

面接で聞いてはいけない質問は多い

以前に比べて面接はとてもやりにくくなりました。聞いてはいけない質問というものがあり、間違えてそう言った質問をすると、ネットに書き込まれたり、企業評価のページに悪口を書かれたりします。

そういった評価を受けると、面接前に会社のことを調べようとした人が目にして応募をやめてしまったりするので、企業の今後の採用活動に影響が出ないとも言えません。
 

面接官が聞いてはいけない質問

  • 本籍地や居住環境に関する質問
  • 家族や家庭環境に関する質問
  • 資産に関する質問
  • 思想や信念に関する質問
  • 特定の性別に限定した質問
  • 宗教に関する質問
  • 支持政党に関する質問
  • 人生観に関する質問

要は、業務に直接関係しないことを聞いてはいけないということです。
 

NG質問例

本籍地や居住環境に関する質問

「生まれた場所はどこですか?外国で生まれた経緯を教えてください」
「家は賃貸ですか、それとも、持ち家ですか」
「長男として家業を継ぐ意思はありますか」
 

家族や家庭環境に関する質問

「お母さんは外で働いていますか」
「ご両親はご健在ですか」
「ご両親は何か病気を患っていたりしますか」
「奥さん(ご主人)の職業は何ですか」
「ご家族は仲がいいですか」
 

資産に関する質問

思想や信念に関する質問

「どこの新聞を購読していますか」
「愛読書を教えてください」
「尊敬する人物は誰ですか」
 

特定の性別に限定した質問

「何歳で結婚・出産したいですか」
「結婚・出産したいという願望はありますか」
「子どもを産んでも仕事を続けますか」
「結婚したら働き方を変える予定ですか」
 

宗教に関する質問

支持政党に関する質問

人生観に関する質問

質問で確認したいことを考えてから聞く

「尊敬する人物は誰ですか」ということすら聞いてはいけないという指針を見ると驚かれる方は多いです。

ですが、「尊敬する人物は誰ですか」という質問で確認したいことはおそらく、「仕事に対してどういう価値観を持っているのか?」ということだと思いますので、それであれば、少し質問を変えればいいと思います。

たとえば、会社が家康のような熟考タイプの人に入社してほしいとすれば、熟考タイプかどうかを確認しますから、「仕事にはいくつか進め方があるとは思いますが、80%の出来でもすぐに行動するべきという【走りながら考えろ】とする方法と、あらゆるリスクを考慮したうえで、できる限り万全の態勢で業務を進めるという【石橋をたたいて渡る】方法がありますが、ご自身はどちらのタイプだと思いますか」という聞き方もあるかと思います。
 

健康状態を確認する質問の可否

会社は採用するかどうかを決める 採用の自由・調査の自由 がある

採用された従業員を解雇することには、非常に厳しい基準があります。これを解雇権乱用法理といいます。客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当なものでなければ、権利濫用の「不当解雇」となってしまいます。

そのため、会社としては、入社前に採用するかどうかを自由に決定することができるという権利があります。
 


三菱樹脂事件(S48.12.12最大判)

三菱樹脂事件は、企業者が自己の営業のために労働者を雇うにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるとされました。また、思想、信条を理由とする雇入れの拒否を直ちに民法上の不法行為とすることができないとされました。
また、
企業者が雇傭の自由を有し、思想、信条を理由として雇入れを拒んでもこれを目して違法とすることができない以上、企業者が、労働者の採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることも、これを法律上禁止された違法行為とすべき理由はない。
企業者において、その雇傭する労働者が当該企業の中でその円滑な運営の妨げとなるような行動、態度に出るおそれのある者でないかどうかに大きな関心を抱き、そのために採否決定に先立ってその者の性向、思想等の調査を行なうことは、企業における雇傭関係が、単なる物理的労働力の提供の関係を超えて、一種の継続的な人間関係として相互信頼を要請するところが少なくなく、わが国におけるようにいわゆる終身雇傭制が行なわれている社会では一層そうであることにかんがみるときは、企業活動としての合理性を欠くものということはできない。

古い判例です。特に後半の 「終身雇傭制が行なわれている社会では」 とありますから、前提条件は変わってきております。すべて自由だとするのではなく、指針として参考にする程度がいいかと思います。
 

健康状態を確認しなければならない理由

例えば、ドライバー。病歴によってはドライバーに就けないこともあります。

ほかにも残業が多い職場、ストレスがかかりやすい職場、視力を要する業務、長時間の注意力が必要な業務など、一定の業務には、病歴の把握をしておかなければつけないこともあります。そういったことからも、事前に確認しておかなければならないということです。

業務上必要な質問である という基準が重要です。
 

健康状態を確認する方法と注意事項

1 強制ではないことを伝え、同意を取りましょう

センシティブな質問になりますから、口頭での質問は避け、文書により回答を求めることをお勧めします。その際は、強制ではないことを伝え、回答の同意を取ることに注意が必要です
 

2 公表がないこと と 利用目的を伝えましょう

どうして、健康状態を確認するのかの利用目的、公表しないことをきちんと伝えましょう
 

3 質問内容を検討しましょう

繰り返しますが、センシティブな質問ですから業務に必要な範囲の質問としてその内容をしっかり検討する必要があります
 

4 プライバシーな質問なので、十分に配慮して行いましょう

書式のダウンロードはこちら


記載の内容は、執筆当時の法律に基づきます。また、わかりやすく記載するため、例外についてあえて記載していないことがあります。また、一定の状況下・一定の条件のことを指していることがあり、すべての状況で同様のことが言えるわけではありませんので、ご了承ください。

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