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- 【Q&A】 年末年始に出勤するともらえる年末年始勤務手当が賞与に該当すると聞きましたが、本当ですか?
2024.01.25
【Q&A】 年末年始に出勤するともらえる年末年始勤務手当が賞与に該当すると聞きましたが、本当ですか?
残念ながら(?)その通りです
一般的に、給与とは月々支払われる給与をいい、と賞与とは、半年に1度程度給与とは別に支払われるものを言いますが、ポイントとなるのは、社会保険料なので、社会保険上、どのように定義されているのかが重要となります。
給与:社会保険上の「給与」とは、名称を問わず労働の対価として使用者が労働者に支払う受けるすべてのもの(報酬)を言います
賞与:社会保険上の「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるもの
そして、具体的に、報酬に該当するのか否かも規定されています。
報酬となるもの | 報酬とならないもの | |
金銭 | 基本給、残業手当・深夜手当・休日手当等、通勤手当、住宅手当、扶養手当・子供手当・家族手当等、役付手当、勤務地手当、日直手当、宿直手当、早出手当、勤務手当、皆勤手当、精勤手当、会社から支給される私傷病手当金、賞与(年4回以上支給するもの) | 病気見舞金、結婚祝金、健康保険の傷病手当金、労災保険の休業補償給付、年金、恩給、大入袋、解雇予告手当、退職金、出張旅費、交際費 |
現物 | 通勤定期券・回数券、食事・食券、社宅・独身寮、被服(勤務服以外)、現物給与の自社製品 | 制服などの勤務服、食事(本人からの徴収額が標準価額により算定した額の3分の2以上)、社宅(本人からの徴収額が標準価額以上) |
次に、よくお問い合わせをいただくご質問を整理していきたいと思います。
目次
賞与に関するよくある質問集
1 年末年始勤務に対する手当は賞与となるか?
賞与となります。
近年の年金調査ではこの「年末年始手当」について、本来は賞与扱いであるにもかかわらず賞与扱いとせず、通常の「給与」として支給している場合について厳しく指摘され、最大2年間遡及して届出するよう(保険料を支払うよう)指導が行われるケースが増えています。
その金額の大小、例えば、数千円、数万円によらず、賞与扱いとして所得税、社会保険料の計算が必要です。
2 報酬とならない大入り袋とはどういったものを指すか?
疑義解釈には次の通りあります。
Q 通常、「大入袋」は「臨時に受けるもの」として報酬に含まない取扱いとしていますが、以下の事例についても報酬に含まないとしてよいでしょうか。 【事例】 支払項目 大入袋、支払金額 1 万円、 給与支払にかかる社内規定 なし、賃金台帳 記載あり A 日本年金機構のホームページでも報酬としない例として「大入袋」の記載がありますが、これは大入袋のもつ本来の性質「1.発生が不定期であること、2.中身が高額でなく、縁起物なので極めて恩恵的要素が強いこと」からすると生計にあてられる実質的収入とは言い難く、報酬及び賞与としないとしています。 厚生年金保険法第 3 条第 1 項第 3 号及び健康保険法第 3 条第 5 項で 「報酬」とは、「賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものはこの限りではない」と規定され、「賞与」に関しても厚生年金保険法第 3 条第 1 項第 4 号及び健康保険法第 3 条第 6 項で「賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう。」と規定されています。 厚生年金保険法第 3 条 1 項第 3 号及び健康保険法第 3 条第 5 項にお ける「臨時に受けるもの」とは、昭和 23 年 7 月 12 日保発第 1 号通知において、「被保険者が常態として受ける報酬以外のもので狭義に解するものとすること」とされており、通常の生計に充てられる収入の性質が報酬であり、臨時的なものは報酬とはなりません。 また、「労働の対償」とは、昭和 32 年 2 月 21 日保文発第 1515 号からすると被保険者が事業所で労務に服し、その対価として事業主より受ける報酬や利益などをいい、1.過去の労働と将来の労働とを含めた労働の対価 2.事業所に在籍することにより事業主(事業所)より受ける実質的収入と考えられます。 ただし、昭和 18 年 1 月 27 日保発第 303 号により事業主が恩恵的に支給する見舞金は通常の報酬ではないとされ、結婚祝金や慶弔費なども「報酬」や「賞与」とはなりません。 ご照会の事例においては、大入袋の支給原因、条件等が不明なため、臨時的であるかの判断ができず、報酬かどうかの一律な判断はできません。仮に臨時的であれば、金額の大小に関係なく、報酬としない取扱いが妥当となります。 臨時的かどうかの判断は、支給事由の発生、原因が不確定なものであり、極めて狭義に解するものとすることとされていますので、例年支給されていないか、支払われる時期が決まっていないかで判断してください。 次に、臨時的でないとすれば、報酬又は賞与となるのか判断することになりますが、前述したように事業主が恩恵的に支給するものは報酬又は賞与から除かれます。 恩恵的かどうかの判断は、社会通念上での判断となりますが、ご照会の事例は(大入袋に関しては)、賃金台帳に記載があること、金額が 1 万円であること、これに加え、支給事由が業績達成や営業成績に連動しているものであれば、本来の大入袋のもつ性質とは異にし、恩恵的ではないと判断するのが妥当となります。 |
判断が非常に難しいのですが、不定期に恩恵的に支払われる5000円程度の大入り袋については、報酬とはならないであろうと考えます。
ただし、所得税はかかります。
3 入社時に入社祝い金を支給している場合、賞与となるか?
入社の際にやむを得ず転居が必要となりその転居費用の補填として支給する場合には、「実費弁償的なもの」となるため労働の対償とみなされません。転居費用として支給しているのかどうか金額を含めて総合的に判断する必要があります。
一般的に入社祝い金20万円というような転居費用の補填と思われない場合は賞与となります。
残念なことに、年金事務所によって考え方が異なることがありますので、注意が必要です。
4 慶弔祝い金は賞与となるか?
恩恵的に支給する慶弔見舞金は、賞与とみなされません。
5 永年勤続表彰は賞与となるか?
長期にわたり勤続した従業員に対し「永年勤続表彰金」等の名目で表彰金を支払う事業所様は少なくないかと存じます。 この「永年勤続表彰金」については、社会保険において報酬に含めるか否かで見解が分かれていましたが、このたび日本年金機構より統一見解が周知され、取り扱いがQ&Aにて明確化されました。
一定要件を満たすものについては「報酬等」に該当しないものとされています
問3 事業主が長期勤続者に対して支給する金銭、金券又は記念品等(以下「永年 勤続表彰金」という。)は、「報酬等」に含まれるか
(答) 永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その 取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行 う必要があるが、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、 恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しない。
ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質について十分 確認した上で、総合的に判断すること。
≪永年勤続表彰金における判断要件≫
① 表彰の目的
企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。
② 表彰の基準
勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。
③ 支給の形態
社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。
6 永年勤続表彰として支給する旅行券などのギフトカードは賞与となるか?
永年勤続に対する表彰であれば、上の通りでその形を問わず賞与となりません。
7 年間4回以上賞与が支給された場合はどうなるのか?
年3回までの賞与とあるとおり、賞与という名目でも年4回以上支給する場合には「報酬」として取り扱うことになります。
算定基礎届を提出する際に、1年間(7~6月)の賞与合計額を12等分し、月額給与に上乗せして書類を作成し、提出することになります。
8 年2回だけ増額する手当を作り、それを賞与としないことはできるか?
その手当全体を賞与とし、案分して月々の標準報酬に上乗せすることになる。
事例3のように、業績に応じて手当が支給され、支給額から毎月定額により支給される手当と半年毎に支給される手当が一体で支給されていると考えられる場合であって、給与規程及び賃金台帳のいずれにおいても、事例1及び事例2のように手当が区分されておらず、客観的に区分できない場合には、「手当A」は一か月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されるものとして、「賞与に係る報酬」として取り扱う。
参考:厚生労働省Q&A
9 創立記念で全員に支給する30000円のギフトカード(アマゾンカード)は賞与となるか?
創立記念の場合も、永年勤続と同様に考えられますので、社会保険の対象にならないことが多いかと思います。ただし、所得税の取り扱いは、現物か現金(商品券)かによって取り扱いが異なります。現金や商品券などを支給する場合は、その全額(商品券の場合は券面額)が給与として課税されます。
10 合格祝い金を支給する場合は、賞与となるか?
争いがあるところで、明確にお答えすることが難しい手当です。が、年金事務所からは賞与と判定される可能性が高いと思われます。
賞与の考え方としては、労働者が労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものであり、労働の対象とは、①過去の労働と将来の労働とを含めた労働の対価②事業所に在籍することにより事業主より受ける実質的収入であるとされます。
そのことから合格祝い金について、将来の労働の対価とみられやすいことから賞与と判定されるの可能性が高くなります。
しかしながら、これは、「支給事由の発生、支給条件、支給額等が不確定で、経常的に受けるものではない」ことから賞与としないとも考えられます。
金額の大小も影響する手当であり、賞与として取り扱うのが安全かと思います。