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2023.11.08
年末調整に関するよくある質問

今年もこの時期が参りました。
社労士になってから毎年年末調整をしておりますが、それでも毎年調べることもありますし、毎年、マニュアルはブラッシュアップする必要があります。

いかにして、もれなくミスなくチェックをするのかは永遠の課題です。そこで、今回は、年末調整でよくある質問をまとめてみました。
 

1 年末調整における「扶養」とは何ですか?

⼀定の所得以下の配偶者や⼦ども、親などのうち、⽣計を⼀にする(=同じ「財布」で⽣活する)家族のことです。

「配偶者(特別)控除」や「扶養控除」の対象となる家族は、必ずしも同居している必要はなく、⽣計を⼀にすることが要件となります。

「⽣計を⼀にする」とは、同じ「財布」で⽣活する状態を指します。単⾝赴任中の会社員や下宿中の学⽣などでも、休⽇に帰省したり、定期的に⽣活費や学費を仕送りしたりしていれば、これに該当します。
また「配偶者(特別)控除」や「扶養控除」を適⽤するためには、所得要件を満たさなければなりません。

配偶者の場合、納税者本⼈の合計所得⾦額が1,000万円以下で、かつ配偶者の年間の合計所得⾦額が48万円以下(給与収⼊のみの場合は103万円以下)であれば「配偶者控除」を、48万円超133万円以下であれば「配偶者特別控除」を適⽤できます。配偶者以外の扶養親族の場合には、年間の合計所得⾦額が48万円以下(給与収⼊のみの場合は103万円以下)であれば「扶養控除」を適⽤できます。
 

2 前職の源泉徴収票が、提出期限に間に合いそうにありません。

一般的には、書類が間に合わない場合には各⾃で確定申告をお願いすることになります。

税務署や市区町村への提出期限は翌年1⽉31⽇であるため、それをふまえて「書類配布→書類回収→年末調整の計算→法定調書や給与⽀払報告書の作成→提出」までの⼀連のスケジュールが立てられています。

遅延する書類以外を先に提出してもらい、可能な範囲で年末調整の計算を進めておけば、最後に不⾜資料を回収したタイミングで計算結果に反映することも可能です。ただし、柔軟な対応が増えると当初の提出期限が遵守されにくくなるリスクもあります。早く回収できるように従業員へのアナウンスを急ぐのがいいでしょう
 

3 原本提出が必須の書類をなくしました

再発行が必要です。間に合わないときは確定申告となります。

前職の源泉徴収票であれば以前の勤務先、⽣命保険料や地震保険料の控除証明書なら各保険会社、国⺠年⾦の控除証明書は⽇本年⾦機構というように、発⾏元へ依頼することで再発⾏を受けられるケースが多いです。ただ、間に合わないときは、確定申告となります。コピーなどは不可で原本が必要です。
 

4 本業のほかにアルバイトをしており、期⽇までにアルバイト先の源泉徴収票を⽤意できません。

年末調整では、主たる給与の事業所で行いますので、アルバイト先の源泉徴収票は不要です。
ただし収⼊⾦額によっては確定申告が必要な場合もあるので、アルバイト先の源泉徴収票を⼊⼿次第、各⾃で確認してください。

同時に2か所以上から給与の⽀払いを受けている場合には、「主たる給与」と「従たる給与」に分け、前者を「甲欄」、後者を「⼄欄」として毎⽉の源泉徴収を⾏います。
「主たる給与」とは、扶養控除等申告書を提出した勤務先から受ける給与のことであり、扶養控除等申告書はいずれか1か所の勤務先にしか提出できません。年末調整はあくまで「主たる給与」を受ける勤務先にて、「主たる給与」のみを対象に⾏うため、「従たる給与」であるアルバイト先の源泉徴収票は不要です。なお「従たる給与」が年間で20万円を超える場合には、確定申告義務が⽣じるため注意しましょう。
 

5 ⾃分で確定申告をする予定です。年末調整の書類を提出する必要はありますか?

確定申告を⾏う場合でも年末調整は⾏わなければならないため、書類の提出が必要です。

年末調整の対象者から除かれるのは、年間の給与総額が2,000万円を超えるなど⼀定の要件を満たす場合に限られます。「確定申告を⾏うかどうか」は判断基準とされていません。そのため、確定申告を⾏う予定の従業員であっても年末調整の対象となるため書類の提出が必要です。
 

6 住宅ローン控除1年⽬です。年末調整書類を提出する必要はありますか?

住宅ローン控除のために確定申告を⾏う場合でも、年末調整は⾏う必要があるため、書類の提出が必要です。

住宅ローン控除1年⽬で確定申告を⾏う場合も、年末調整の対象者判定には影響を及ぼしません。
したがって給与総額が2,000万円を超えるなど⼀定の要件を満たす場合を除き、年末調整の対象となるため書類の提出が必要です。
なお、2年⽬以降は年末調整にて住宅ローン控除の適⽤が可能となるため、住宅ローン控除に必要な書類もあわせて提出してもらいましょう。
 

7 年内に結婚の予定があり、苗字・住所が変更になる予定です。

年末調整の書類には、翌年1⽉1⽇時点の住所や⽒名を記⼊してください。

給与⽀払報告書の内容にもとづき計算される住⺠税は、毎年1⽉1⽇時点の居住地である⾃治体に納めます。したがって、市区町村へ提出する給与⽀払報告書には、翌年1⽉1⽇時点の情報を記⼊する必要があります。
税務署へ提出する源泉徴収票については作成時の住所等で問題ありませんが、年末調整業務では源泉徴収票と給与⽀払報告書はセットで作成するのが⼀般的です。給与⽀払報告書にあわせて、源泉徴収票についても翌年1⽉1⽇時点の情報で作成することが好ましいでしょう。
なお、年内に引越しをして翌年1⽉1⽇時点で住⺠票を移していない場合でも、その時点で実際に住んでいる⽅の住所を記載してください。
 

8 年内に⼦どもが⽣まれるため、扶養する家族が増える予定です。

12⽉31⽇までに⽣まれた場合には扶養に含まれます。

扶養親族については当年12⽉31⽇時点の現況によって判定するため、年末調整の計算が完了してから12⽉31⽇までの間に結婚や出産などがあった場合には、扶養状況の変更が⽣じる可能性もあります。
このような場合には、翌年1⽉31⽇までであれば「年末調整のやり直し」を⾏えます。
変更後の内容を記載した扶養控除等申告書を提出し、計算結果が変わる場合には次の給与などで還付することになります。
 

9 前職の源泉徴収票、⽣命保険料の控除証明書などの表⽰名が旧姓のままです。このまま提出しても⼤丈夫ですか?

本⼈であることが明らかな場合は、旧姓のままで問題ありません。本⼈かどうか判断できない場合は改姓の事実を確認できる書類(住⺠票など)もあわせて提出してください。

前職の源泉徴収票や控除証明書などの書類は、年末調整書類に記載された⽒名‧⾦額などの情報が従業員のものであることを確認する⽬的で回収しています。そのため、旧姓であっても従業員本⼈であると会社が判断できる場合には、そのまま受理してかまいません。
⼀⽅で、⼊社して⽇が浅いなどの事情により、旧姓のままでは本⼈かどうかの判断が難しい場合には、⼾籍謄本や住⺠票など、旧姓や改姓の事実を確認できる書類もあわせて提出してもらいましょう。
 

10 ⽣命保険料の控除証明書の契約者名義が家族の名前になっています。この場合も控除を受けることはできますか?

ご⾃分で保険料を⽀払っているのであれば、控除を受けることができます。

⽣命保険料控除を受けるためには、受取⼈が「保険料の⽀払者」または「配偶者」「その他の親族」のいずれかである必要がありますが、契約者については要件とされていません。
そのため、従業員⾃らが配偶者や親族名義の保険料を⽀払った場合でも、年末調整の際に控除証明書を提出すれば⽣命保険料控除を受けることができます。
 

11 国⺠健康保険料を納付したことを証明するために、何か書類の添付が必要になりますか?

原則どおり、書類の添付を不要とする場合は国⺠健康保険料の納付額を証明するための書類添付は必要ありません。社内ルールとして、証拠書類の添付を義務付けている場合は納付額を確認できるよう、領収書などを添付してください。

社会保険料控除において、国⺠年⾦や国⺠年⾦基⾦は控除証明書の添付が必要ですが、国⺠健康保険料や後期⾼齢者医療保険料、介護保険料については書類の添付は必要ありません
なお、証明書類の添付は義務付けられていないものの、従業員が年末調整書類に記⼊した国⺠健康保険料の⾦額に誤りがないかをチェックするために、根拠書類の提出をルール化している会社も多いです。
 

12 配偶者控除を受けるにあたり、配偶者の収⼊を証明する書類(源泉徴収票など)の提出は必要ですか?

配偶者の所得を証明する書類の提出は必要ありません。

扶養控除等申告書に記載するのは、あくまで所得の「⾒積額」であるため、正確な所得の記載やそれを証明する書類の添付は不要です。特に配偶者や扶養親族が会社員の場合、必ずしもそれぞれの勤務先が先に源泉徴収票を発⾏するとは限らないためです。⼀⽅で、配偶者や扶養親族の所得が控除要件を満たすかどうか不確実な場合には、従業員⾃⾝に被扶養者の所得を正確に把握してもらうことが⼤切です。
年末調整書類の提出後に控除要件を満たしていないことが判明した場合には、従業員から速やかにその旨を報告してもらい、扶養控除等申告書を再提出してもらう必要があります。
これを怠ると、数か⽉後に税務署から「扶養控除等の控除誤りの是正」の通知が届き、従業員へのヒアリングや年調税額の再計算、追加納税といった対応が必要になるため注意しましょう。
 

13 前職の源泉徴収票をPDFファイルで受け取りました。この場合、データ提出のみでもよいですか?

データではなく、原本(書⾯)の提出が必要です。

年末調整⼿続きに必要な書類は、原本の提出または提⽰が義務付けられています。近年では源泉徴収票などの書類をPDFファイルで交付する会社も増えていますが、改ざんのリスクもあるため、前職場には書⾯で発⾏してもらうように徹底しましょう。また、管理⾯でも従業員から回収する書類が原本(書⾯)とデータで混在していると、ミスや確認漏れが発⽣しやすくなります。
 

https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm
 

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