BLOG & NEWS
労務ブログ & ニュース
- ホーム
- 労務ブログ & ニュース
- 労務ブログ
- 【判例】 SGSジャパン事件 平成29年1月26日
2024.01.25
【判例】 SGSジャパン事件 平成29年1月26日
事案の概要
うつ病を発症した原告が休職し、休職期間満了となる1年が経過する時点で復職可能性が見込まれないとして退職となった。原告は被告会社が過大な業務を課し、自宅での持ち帰り残業が発生したこと、職場の上司らが原告に対してパワハラをしたことなどを主張して休職は業務に起因するもので、従業員の地位にあることの確認を求めた。
判旨
持ち帰り残業の証拠としてメール送信記録などを提出しているが、「メール送信記録自体は、その性質上、当該記録された時間まで原告が継続して労働していたこと直ちに認めるに足りるものではない。また、時間外労働の前提となる労働時間は、あくまでも使用者の指揮監督下において労務の提供を余儀なくされた時間であるところ、就業場所外の所定労働時間外の時間は、通常は被告の指揮監督下にはない時間であることが推定されるというべきであるから、特に被告会社から持ち帰り残業を指示されたとか、業務量が多く持ち帰り残業をせざるをえない状況にあったといった事情が認められない限り、原告が自宅で深夜早朝に業務上のメールを送信した事実があるからといって、ただちに、その前後の時間が上記した意味における労働時間になるわけではない。」
解説
持ち帰り残業があったことから、うつ病の業務起因性を主張した原告であるが、上記判示のように、自宅でメールを送信した時間が労働時間外であるといえども、本来的な労働時間である指揮監督下にあったというには、指示があったか、業務量が過大で仕事が終わらなかったなどの事情が必要であるとした。業務の量を裁判所は考慮するとしているが、本件では時間外労働を必要とするほどの業務量はなかったと認定している。
基本的に自宅での仕事は禁止する方向で業務を行うべきであり、メールが使えるからといっても労働時間が把握できないことが容易に想像できるので、上司の指揮監督下にない時間帯の労働は考えないほうがいいと言えます
判例に関する記事一覧
【判例】 脳出血による死亡は労災認定されるのか?
【判例】 経営戦略室の課長でも管理監督者とはされず、残業代の支払いは必要か?
【判例】 定年再雇用者の給与を引き下げることは、同一労働同一賃金に違反するのか?
【判例】 正社員と期間の定めのある臨時職員との賞与の有無の差は不合理と言えるのか?
【判例】 労働実態がほとんどない深夜帯の勤務について通常と異なる計算方法はできるのか
【判例】 育休明けの復職後の配置が給料が変わりないからとって自由に配置を行ってもいいのか?
【判例】 明確なパワハラ行為が会社であったことを放置し労災認定されたとき、それを安全配慮義務違反として会社に対しても損害賠償が認められるのか?
【判例】 有期雇用契約中に適性検査を行い、適性が認められないとして、契約更新を終了することは適用といえるか?
【判例】 労働契約法20条問題 平成29年3月23日
【判例】 ドリームエクスチェンジ事件 平成28年12月28日
【判例】 SGSジャパン事件 平成29年1月26日
【判例】 F堂事件
【判例】 有期雇用を相当程度繰り返してきた契約社員を、後から定めた更新上限を理由に雇止めとすることはできるのか?
【判例】 日本郵便(休職)事件 2018.6.20
【判例】 類似の働き方の正社員と嘱託社員の間で、労働条件の差を設けることはできるのか?同一労働同一賃金の違反にならないのか?
【判例 X学園事件 平成28年11月30日判決
【判例】 有期雇用の従業員を試用期間中のコミュニケーション不良で、試用期間満了後の解雇は有効となるか?
【判例】 高知県公立大学法人事件 2018.8.16
【判例】 スマホでできる勤怠管理システムを導入しているが、直行直帰の従業員を事業場外の見なし労働時間制を使うことは可能か?
【判例】 70時間を含む固定残業手当の制度は、有効なのか?固定残業制度の可否は?
【判例】 K運輸商事事件 2018.7.18 交通費の支給上限の可否
【判例】 定年後再雇用の方の給与について、年齢給部分をカットし給与が下がることは労働契約法20条の違反となるか?
【判例】 トラック運転手の残業代の計算方法の適法性が問われた事案。
【判例】 有給休暇の単価計算で、通常勤務した場合に支給される手当は有給単価に含まれるのか?
【判例】 定年退職後に嘱託社員となったが、給与について正社員と比べて低くするのは、労働契約法20条の違反となるのか?
【判例】 在職中に同僚に自分の新会社への転職を行うような引き抜き行為について損害賠償請求ができるのか?
【判例】 調整給として支給している固定残業代は、認められるのか?
【判例】 関西ケーズデンキ事件 2018.10.15