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2023.10.14
【Q&A】 実際に雇い入れたときの給与が、求人サイトに記載の給与より低いというのは法律上問題ありますか?
募集内容と契約内容が異なっても、それだけで問題があるとは言えませんが、釣り広告のようにならないように気を付けなければなりません。
詳しく解説いたします
カウカウフードサービスでは会社が敗訴
カウカウフードサービス(マダムシンコ)の裁判では、会社が敗訴しました。
令和5年10月13日のニュースによると、菓子店「マダムシンコ」の運営会社が、求人サイトで「月給35万円以上」と記載しながら、実際は約17万円しか支払わなかったとして、元従業員の男性が未払い賃金の支払いを求めた裁判で、大阪地裁は会社に対し約100万円を支払うよう命じる判決を言い渡しました。
<事件の経緯と結果>
- マダムシンコの運営会社「カウカウフードシステム」が月給35万円から50万円で正社員を募集している、との記載をインターネットの求人サイトで見つけ、面接に応募
- 人事担当者との面談でも試用期間(3か月)後の月給が35万円と口頭で説明され、採用された
- 3月から翌年4月まで大阪府豊中市のバウムクーヘン工場で勤務(現在は退職)
- 勤務開始から約1ヵ月後、男性は基本給の欄に「月給16万5500円から25万円」と記された雇用契約書に署名。 3ヵ月の試用期間中は月給25万円、試用期間以降の月給は約17万円。
大阪地裁は、会社側から面接の際に「月給35万円」と言われたとする男性の主張は退けた一方、試用期間後の本採用時に「特段の手続きがとられたことをうかがわせる事情が見当たらない」などとして、男性の月給は試用期間と同じ25万円と認定。
求人の際の給与額は目安に過ぎない
求人の際の給与額は目安に過ぎないとされています。つまり、契約条件は、募集高校を出した時点では確定していないということです。
このことから考えれば、カウカウフードサービスがインディードに出していた内容と異なる条件で雇い入れたことは問題ないと言えます。
それでも、カウカウフードサービスに支払いの判決が出た理由は次の理由によると考えます。
- 面談時に、試用期間後の賃金を口頭で説明しており、この時点で契約が成立している
- 試用期間から本採用になる際に特別の手続きがされていない
カウカウフードサービスの反省点
カウカウフードサービスはどうすればよかったのでしょうか?
労働条件の明示は雇用契約の中で最も重要なポイントです。
- 面接時に条件を提示。基本的にこの時点の条件が労働条件となる。
- 雇用開始と同時、またはそれ以前に契約書を交わす。試用期間と本採用時の条件が異なる場合は、その旨を表示するか、それぞれの条件を記載。相当異なる場合は、本採用となる場合の基準をあらかじめ決めておく
- 試用期間中と異なる場合、本採用時に再度雇用契約書を交わす
一般的にここまでされていない会社がほとんどと思います。というより、試用期間中と本採用時で条件を大きく変えている会社も少ないです。とすれば、重要なのは、上の2番 勤務開始時にきちんと条件を提示して雇用契約書を交わすということが重要です。
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