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- 【Q&A】 有給休暇の単価の計算に皆勤手当や無事故手当、その他の手当は計算の対象としなければならいのか?
2023.10.21
【Q&A】 有給休暇の単価の計算に皆勤手当や無事故手当、その他の手当は計算の対象としなければならいのか?
有給休暇の単価は、通常支払われる手当なのかどうかで判断します。具体的には個別に確認する必要があります。
詳しく解説いたします
目次
有給休暇中の手当の払い方は3通りあります
有給休暇の手当の支払い方法は実は3通りあります。
一般的に使われているのは、
- 通常の賃金 です。 それ以外には、
- 平均賃金
- 標準報酬日額
がありますが、これを ③を採用している会社は多くありません。
これについては、就業規則の有給休暇の項で定めることになりますが、厚生労働省の規定例など一般的な規定では、①の通常の知音銀が選ばれていることが多いです。
通常の賃金の計算方法とは
通常の賃金とはどうやって計算のでしょうか?通常時の月給の場合はとても分かりやすいです。
22日出てくる予定で、1日有給休暇を取得したとしても、通常通りの給料を支払い、控除をしない という計算方法です。
しかし、1か月すべてを有給休暇としたとき、皆勤手当 や 無事故手当 を支払う必要があるのでしょうか?
以前 【判例】 有給休暇の単価計算で、通常勤務した場合に支給される手当は有給単価に含まれるのか? という記事で、有給単価の計算にシフト勤務手当が含まれるという判例をご紹介しましたが、その他の手当の場合はどうなるのかを、簡潔に解説いたします。
Q&A
Q: 皆勤手当 は 有給単価に含まれるのか
皆勤手当は、通常、出勤を奨励して出勤率を高めるために支払われる手当です。これは、全ての勤務日に出勤するか、一定率以上の出勤を達成することで報奨金として支給されるものです。したがって、所定労働時間に対する賃金とは異なる性格を持っています。したがって、「通常の賃金」の算定時には、皆勤手当を計算の基礎に含める必要はないと考えられます。
また、年次有給休暇を取得する従業員が皆勤手当の支給対象から除外されるかどうかという点も問題となり得ますが、年次有給休暇を取得したことを理由にして皆勤手当を支給しないことは適法とされています(最高裁平成5年6月25日第2小法廷判決 沼津交通事件)。
参考: 労基法136条は使用者の努力義務を定めたものであって、私法上の効力(不利益取扱いを無効とする効力)を有するものではない。しかし、不利益取扱いの趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、年次有給休暇の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、年次有給休暇を取得する権利の行使を抑制し、労基法が労働者に有給休暇取得の権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるものは、公序良俗(民法90条)に反するものとして、無効となる。 |
Q: 無事故手当 は 有給単価に含まれるのか
無事故手当は、一定期間事故がなかった場合などに支給される手当であり、主に運送業者などで一般的に設定される報奨金の一形態です。この手当は、事故がないという好ましい結果に対する報奨として支給されるものであり、したがって、通常の賃金とは異なる性格を持っています。そのため、所定労働時間労働した際の通常の賃金に無事故手当を含める必要はないと考えられます。
Q: 通勤手当 は 有給単価に含まれるのか
労働者の通勤費用を補填するための通勤手当は、多くの企業で一般的に採用されています。月ごとの通勤定期代相当額を支給する場合、実際の通勤の有無にかかわらず定期代は変動しないため、年休取得日に支給額を減額するのは妥当ではないと言えるでしょう。
一方で、実際に出勤した日の分だけ後から実費精算するような実費精算型の通勤手当の場合、年休取得日に通勤費用が発生しないため、その費用を年休手当に含める必要はないことになります。
Q: 業務手当、危険手当 は 有給単価に含まれるのか
企業では、業務手当、危険手当、乗務手当、服務手当など、さまざまな業務に関連する手当が支給される例が多くあります。これらの業務に関連する手当については、通常、出勤時に当該業務に従事することが予定されており、出勤すれば自然に支給されるものが多いため、通常の賃金と同様の性格を持つと考えられます。従って、これらの手当は所定労働時間に労働した場合に支払われる通常の賃金と同列に考えられます。
したがって、これらの手当が対象とする業務に通常従事している労働者に関しては、年次有給休暇手当の額にこれらの手当の金額も含めて計算することが一般的であると言えるでしょう。
記載の内容は、執筆当時の法律に基づきます。また、わかりやすく記載するため、例外についてあえて記載していないことがあります。また、一定の状況下・一定の条件のことを指していることがあり、すべての状況で同様のことが言えるわけではありませんので、ご了承ください。