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2023.10.15
中小企業で 1か月単位の変形労働時間制は正しく運用できるのか?メリットとデメリットを簡単に教えてほしい
A 業種によっては変形制の導入は必須。ただ、制度は難しい
詳しく解説いたします
目次
1か月単位の変形労働時間制(以下 1か月変形)とは何か?
1か月変形は 労働時間の計算方法の一つです。
一般的には、1日8時間労働でそれを超えたら残業 という扱いになりますが、1か月変形の場合はそうはなりません。1日9時間働いても残業が0ということも可能です。
たとえば、時給1000円換算で、1日10時間働いた場合、通常は、残業代込みで10500円払う必要がありますが、1か月変形の場合は10000円だけで法律違反とならないということです。
1か月変形のメリット
- 1日の労働時間を8時間に限らず、会社の繁忙の都合に合わせて、7時間や16時間など変更でき、フレキシブルな働き方ができる
- 1のような働き方を設定することで、残業代を抑制することができる
1か月変形のデメリット
- 制度が難しい
- 通常の働き方と比べて、所定労働時間が短くなることがある。結局残業代が増えることもある
- 「あしたは9時間ね。」といったような、前日に労働時間を変えたりできる制度ではない
- 従業員の体の負担が大きい
- 給与計算やシフト管理が難しい
1か月変形が向いている職場・業種
次のような職種・職場は1か月変形が向いているというより必須の場合があります
- A 介護事業所など深夜勤務がある職場
- B 製造業など1か月の間に繁閑の差がある会社
- C 日によって営業時間が異なるような特殊な会社 など
1か月変形は、会社が有利になるから導入するというよりは、1か月変形がないと勤務形態に合わないから必要に駆られて導入するという場合が多いように思います。なんとなく、自由そうだから1か月変形を導入すると失敗することが多いです。失敗の理由は、その制度が難しいからということにつきます。
1か月変形を導入する方法と知っておくべきこと
導入するために定めなければならないことがあります。それは、就業規則または労使協定で次の事項を定めるということです。
① 対象労働者の範囲
誰がこの制度の適用を受けるかを決める。会社全体で導入する必要がありません。例えば、「介護事業所の介護職のみ」 とすることも可能です。
② 対象期間および起算日
例:毎⽉1日を起算日とし、1か⽉を平均して1週間当たり40時間以内とする というように、定めます。対象期間は、1か⽉に限らず、2週間などと定めることもできますが、そのような導入を私はしたことがありません。実際は、給与計算期間に合わせることが多いと思います。
③ 労働日および労働日ごとの労働時間
シフト表や会社カレンダーなどで、どのように働くかをあらかじめ決定する必要があります。
④ 労使協定の有効期間
就業規則の場合はこれは不要です。
なので、私の場合は就業規則に1か月変形の規定を入れることが多いです。
導入する際に絶対に抑えておかなければならないポイント
それは、上の「③ 労働日および労働日ごとの労働時間」の部分です。
対象期間(通常は1か月)を平均して1週間あたりの労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えないように労働日ごとの労働時間を決めます。
そのためには、対象期間中の労働時間を、以下の式で計算した上限時間以下(以下 総枠 という)とする必要があります。
週の法定 労働時間 | 28日 | 29日 | 30日 | 31日 |
40 | 160 | 165.7 | 171.4 | 177.1 |
44 (特例) | 176 | 182.2 | 188.5 | 194.8 |
ほとんどの会社は、40時間の行 で計算していただいて結構です。
この総枠内に労働時間を決めていくわけですが、1日労働時間には制限がありませんから、例えば1日を A 8時間と B 16時間 で決定する(31日の月とする)とすると次のようなシフトになります。
Aシフトを月に10日、Bシフトを月6日置くことができます。月の労働時間は、176時間となります。
月の所定労働時間が177.1ではない という点に注意が必要です。たくさんのシフトを作った場合、人後に所定労働時間が変わってくると残業代の計算がそれはそれは大変になることが想像できます。
1か月変形の残業時間の計算のポイントは1つ
1日ごとの残業時間の計算
例えば、1日7時間と決めた場合、8時間働いたら1時間が残業となりますし、1日11時間と決めた日に12時間働いたらその1時間が残業となります。
1か月変形 運用の肝は シフト表の作成
シフト表をいかに作成するかが非常に重要になります。エクセルなどで管理している会社もあると思いますが、私は勤怠管理システムの導入をお勧めします。
ジョブカン勤怠では、このようにシフト表を簡単に作ることが可能です。1か月ごとのシフト時間も自動で集計してくれます。また、本人からのシフト申請、管理者が承認することで、シフト作成者の負担も減ります。残業時間の計算もソフトが自動でしてくれますからとても便利です。というより、勤怠管理ソフトなしで正しい時間管理は不可能といってもいいと思います。
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