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2023.10.19
一番使えるみなし労働時間制 -事業場外みなし労働時間制- が有効になるためのポイント
みなし労働時間制は、どれだけ働いても残業代を払わなくていい という制度
ではありません。
みなし労働時間制にはいくつか種類がありますが、一番多く利用されている = 使いやすい = 使いたい とされる 事業場外のみなし労働時間制 について整理していきます。
一番使いやすい とは書きましたが、会社にとってとっても都合がいい制度なので、もし、これが認められない場合はかいしゃにとってはかなり大きいリスクともなりえます。
正しく運用できるために注意しなければならないことを確認していきましょう
詳しく解説いたします
そもそも事業場外みなしとはどういう制度か?
事業場外労働のみなし労働時間制とは、労働者が業務の全部又は 一部を事業場外で従事し、使用者の指揮監督が及ばないために、当該業務に係る労働時間の算定 が困難な場合に、使用者のその労働時間に係る算定義務を免除し、その事業場外労働については 「特定の時間」を労働したとみなすことのできる制度です。つまり、労働時間を把握しずらいとされる場合は、会社が決めた時間働いたとしてよいということであり、極論 8時間と決めると、万が一それよりも多い労働時間であったとしても残業の支払いが不必要となります。
ここだけを読めば、会社にとってはめちゃくちゃ都合がいい制度です。みんながこれを導入したがるかもしれませんが、そうはなりません。なぜか。それにはいくつか要件があるからです。
事業場外みなしの対象となる業務
事業場外で業務に従事し、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間の算定が困難な業務
パンフレットによれば、次のような業務は事業場外みなしの適用とはなりません。
- 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
- 無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら事業場外で労働している場合
- 事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後、事業場に戻る場合
ポケベルを持っている人なんてほとんど見かけませんね。存在を知らない人も多くなっているでしょう。このことからわかる通り、かなり前に作られた基準です。
いまでは、携帯電話の普及、位置情報でいつでも確認できる、無料の連絡ツールなどの浸透などにより、厳密に言ってこの3つ以外の業務を探すことが困難になっています。
判例から学ぶ 適用となる基準
3つの判例
1 製薬会社MRに事業場外みなしの適用認めず 外資系製薬会社で外勤の医療情報担当者(MR)として働いていた労働者が、残業代などの支払いを求めた裁判で、東京高等裁判所(村上正敏裁判長)は事業場外みなし労働時間制の適用を認めない判決を下した。勤怠管理システムの導入後は直行直帰が基本のMRについても、始業・終業時刻の把握が可能になったと指摘。労働時間を算定し難いときに当たるとはいえないとした。 |
2 添乗業務は「みなし労働」の対象外 旅行日程が日時や目的地等を明らかにして定められ、添乗員が自ら決定できる事項の範囲及び選択の幅が限られていること、A社は旅行日程に沿った業務を具体的に指示し、旅行日程の修了後には内容の正確性を確認し得る添乗日報によって詳細な業務報告を受けることなどから、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、A社と添乗員との間の業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等に鑑みると、本件添乗業務については、これに従事する添乗員の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認め難く、労働時間を算定し難いときには当たらないとした。 |
3 労働時間を算定し難いとき」に当たるとしてみなし労働時間制の適用が肯定 従事する業務は,事業場外の顧客の元を訪問して,商品の説明や販売契約の勧誘をするというものであって,顧客の選定,訪問の場所及び日時のスケジュールの設定及び管理が営業担当社員の裁量的な判断に委ねられており,上司が決定したり,事前にこれを把握して,個別に指示したりすることはなく,訪問後の出張報告も極めて簡易な内容であって,その都度具体的な内容の報告を求めるというものではなかったというのであるから,一審原告が従事していた業務に関して,使用者が労働者の勤務の状況を具体的に把握することは困難であったと認めるのが相当である。 |
3つの判例からわかる導入のための重要ポイントは
1 業務の指示の度合い
2 勤務内容の把握の度合い
が重要になるということです。
ただ、添乗員ですら事業場外みなしの適用が否定されているということは頭に入れておくことがとても重要です。そう簡単には認められないということです。
会社様から就業規則の作成時に事業場外みなしの制度のご依頼をいただいたとしたら、基本的には反対の立場で、業務の内容をしっかり聞いたうえで、リストとメリットをしっかり判断いただき、適用とするかどうかを検討していきます。
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