お問い合わせ

お知らせ お知らせ

BLOG & NEWS

2023.12.10
【判例】X学園事件 平成28年11月30日判決

事案の概要

原告は被告大学に転職する際に、定年は65歳であるがその後70歳まで1年ごとに再雇用で更新されると聞いたことから、通勤時間が長くなること等を考えたが転職を決めた。平成18年に転職したがその後大学が少子化による学生減少などの影響から定年の運用を厳格化し、雇用の延長をできるだけ認めない運用に切り替えた。平成26年に65歳となったXは再雇用を希望したが再雇用されず、平成26年度終了とともに定年退職とされた。
 

判旨

「労働者において定年時、定年後も再雇用契約を締結することで雇用が継続されるものと期待することについて合理的な理由があると認められる場合、使用者において再雇用基準を満たしていないものとして再雇用をすることなく定年により労働者の雇用が終了したものとすることは、他にこれをやむを得ないものとみるべき特段の事情がない限り、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、この場合、使用者と労働者との間に、定年後も就業規則等に定めのある再雇用規定に基づき再雇用されたのと同様の雇用関係が存続しているものとみるのが相当である。」と最高裁の規範を示し、本件では再雇用の期待があったとした。
 

解説

定年後の再雇用を定めている企業は多いです。本件では、定年が65歳とされている大学でしたが、そのあとの再雇用についての判断となります。
本件では就業規則に再雇用の規定があることだけではなく、採用時に定年後の再雇用があるものと期待させたか否か、そして、期待があったとした場合に、再雇用を拒む相当な理由があったのか、を判断した事案です。
論理的には最高裁の決定に従ったものであるから事実認定が参考となります。
本件では合理的期待を持ったとの認定をした根拠として、転職を決めるときに再雇用されるだろうとの説明、また、再雇用を希望した65歳定年の者が再雇用されてきたこと、などを挙げています。
大学としては、教員含め従業員の人数を絞ることで経営を安定させようとしていたことは認められますが、採用時にはこの方針は採られておらず、かつ、方針転換を周知していなかったことから、再雇用をすべきで、再雇用しない相当な理由が必要となりますが、今回はその理由がないと判断されました。
本件では採用時の説明と異なることになった点が問題となりましたが、経済の動きで採用時と異なる状況になることは一般的に発生し得ますから事前の説明は非常に重要です。
 


【判例】 定年再雇用者の給与を引き下げることは、同一労働同一賃金に違反するのか? 公開予定

【判例】 正社員と期間の定めのある臨時職員との賞与の有無の差は不合理と言えるのか?  公開予定

【判例】 労働実態がほとんどない深夜帯の勤務について通常と異なる計算方法はできるのか 公開予定 

【判例】 育休明けの復職後の配置が給料が変わりないからとって自由に配置を行ってもいいのか? 公開予定

【判例】 明確なパワハラ行為が会社であったことを放置し労災認定されたとき、それを安全配慮義務違反として会社に対しても損害賠償が認められるのか? 公開予定

【判例】 有期雇用契約中に適性検査を行い、適性が認められないとして、契約更新を終了することは適用といえるか? 公開予定

【判例】 労働契約法20条問題 平成29年3月23日 公開予定

【判例】 ドリームエクスチェンジ事件 平成28年12月28日
【判例】 SGSジャパン事件 平成29年1月26日
【判例】 F堂事件
【判例】 有期雇用を相当程度繰り返してきた契約社員を、後から定めた更新上限を理由に雇止めとすることはできるのか?
【判例】 日本郵便(休職)事件 2018.6.20
【判例】 類似の働き方の正社員と嘱託社員の間で、労働条件の差を設けることはできるのか?同一労働同一賃金の違反にならないのか?
【判例 X学園事件 平成28年11月30日判決
【判例】 有期雇用の従業員を試用期間中のコミュニケーション不良で、試用期間満了後の解雇は有効となるか?
【判例】 高知県公立大学法人事件 2018.8.16
【判例】 スマホでできる勤怠管理システムを導入しているが、直行直帰の従業員を事業場外の見なし労働時間制を使うことは可能か?
【判例】 70時間を含む固定残業手当の制度は、有効なのか?固定残業制度の可否は?
【判例】 K運輸商事事件 2018.7.18 交通費の支給上限の可否
【判例】 定年後再雇用の方の給与について、年齢給部分をカットし給与が下がることは労働契約法20条の違反となるか?
【判例】 トラック運転手の残業代の計算方法の適法性が問われた事案。
【判例】 有給休暇の単価計算で、通常勤務した場合に支給される手当は有給単価に含まれるのか?
【判例】 定年退職後に嘱託社員となったが、給与について正社員と比べて低くするのは、労働契約法20条の違反となるのか?
【判例】 在職中に同僚に自分の新会社への転職を行うような引き抜き行為について損害賠償請求ができるのか?
【判例】 調整給として支給している固定残業代は、認められるのか?
【判例】 関西ケーズデンキ事件 2018.10.15

pagetop