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2023.12.20
【判例】 類似の働き方の正社員と嘱託社員の間で、労働条件の差を設けることはできるのか?同一労働同一賃金の違反にならないのか?

東京地方裁判所令和2年5月20日判決

事案の概要

被告会社には、正社員と嘱託社員が存在し、正社員にも担当業務が限定され、役職や管理職への昇任が予定されていないAコースの社員がいる。嘱託社員も担当業務が限定されていることや昇任が予定されないことなどの共通点があるのに、基本給、賞与、地域手当に差があるのは不当であるとして損害賠償請求をした事件である。
 

判旨

「Aコース正社員と嘱託社員との間には、担当業務の範囲が限定され、役職への就任及び管理職への昇任が予定されていないなどの共通点がある。しかし、Aコース正社員は、付随的な事務作業や間接部門での管理業務を担当する可能性があるのに対し、嘱託社員の担当業務はその一部に限られ、担当業務の範囲に相違がある上、Aコース正社員には職能資格制度が採用され、同制度を通じた職務遂行能力の向上、教育、評価等が予定されているのに対し、嘱託社員には同制度が採用されていない」ので、Aコース正社員と一時的に同じ業務を担当することがあったとしても、労働条件に差異があることは不合理ではない
 

解説

裁判所は、正社員にあるコースの差によって、職務内容が異なっていることを前提に、嘱託社員との給与等の差異は不合理ではないとしたものです。
令和2年10月15日には最高裁第一小法廷で3件の日本郵便での労働条件の差異に対して不合理であるとした判決が出ており、この判例との関係を考慮して就業規則、労働条件を考えていかなければなりません。
本判決は、業務内容が異なることが明白であることが一つの区分とされてます。
最高裁の判例では、夏期冬期休暇について、休暇を与える趣旨を検討したうえで、差異を不合理としており、年末年始勤務手当については、繁忙期に実際に勤務したことに対して与えられるので契約社員であっても支給すべきとしています。
このような判例と照らし合わせて考えると、職務内容の違いと、差異を設けている趣旨などについても説明ができるようにしておかないと不合理であるとして労働契約法20条違反とされるリスクが残ります。

待遇に差がある規則について、その規則の目的をまず明確にし、その目的によって差異が説明できるかを検討しておく必要がるでしょう。現実に今適用されている規則であっても見直しをしておかないと訴訟で争われる可能性は残ります。
 

概要

昇任を予定せず、担当業務の範囲が限定されているという共通点がある一部正社員と嘱託社員に基本給などに差異がある場合、実際に担当する業務の範囲がそれぞれ異なること、長期間勤務することを前提として社内教育がされ、それが人事評価に用いられる正社員との差異があることから、その差異は不合理ではないとされた事例。
 


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